ヤナセ製材方法

 ヤナセでは独自に木製バットのための製材方法を行っています。折れに対しての度重なる研究を行い、現在の製法をとっています。
 まず木材の成長について始めに知識として理解していただきたいことがは、メイプルの木を見たとき真っ直ぐ生えているように見えますが、成長の過程でねじれて育つことが多いのです。図のように私たちが普段目にする年輪とは別で木の繊維になります。アメリカの研究機関によりこの繊維を”Slope of grain”と名付けました。(以下SoGと記載)
 バットの形になったときSoGがまっすぐであることを証明しているのがインクドットテストということです。

 このSoGを考慮した製材方法の一つにYUMメイプルで採用しているHAND SPLIT製法があります。大きなくさびで丸太を裁断することで、SoGに沿って割れるため必然的に繊維が平行な材料になります。この製法は先述したように木材の成長の個体差に大きく左右されるため1本の丸太から取れる材料が非常に少なってしまいます。ヤナセにおいては最高の状態のバットを長く使用していただきたいため採用しています。

 SoGを無視した製材を行った場合、バットとボールがコンタクトした際に生じるたわみに対して亀裂が発生しやすくなってしまい、破損しやすくさらに破片が飛翔しやすくなってしまいます。

バットとして使用する部分にも科学的に工夫をしています。丸太断面部分を見て木材は中心が古く、外側が若いためできるだけ外側がバットになるように製材をしています。これはYCMメイプルに採用している製法です。できるだけ外側を使用することで木材の最も衝撃強く、“筋肉質な部分”になります。人間で例えると20代のしなやかで弾力性に富んでいることになります。
 Hand split製法のSoGを意識しケーキカットをすることで外側のみをバットにしています。

 1本の丸太から多くバットを作り出す場合、直径の大きな丸太を使用すれば可能ですが、それでは中心に近い材料からできたバットも混在してしまいます。
 ヤナセでは高品質なバット製造に最適なサイズの原木を使用して、品質の均一化を念頭に置いています。プロ・アマチュアの区別がなく、みなさんにいつでも納得していただけるバットの提供を目指しています。